退院支援とは
退院支援とは、患者が安心して退院後の生活を過ごせるように、病院から退院するために看護師などが支援することです。
病院は疾患の検査・治療の場であり、生活の場ではないため、患者が自宅や地域などの生活の場に戻っていくことは自然なことです。また、病院のベッドや医療リソースは限られており、患者には早期に退院してもらう必要もあります。
しかし、患者やその家族にとって、病気が完治しないことや、障害を抱えて暮らすことは大きな不安であり、療養上の困難や負担がある場合があります。
そこで患者が病気や障害がありながら退院後に安心して生活できるよう、病院と地域の施設・医療職・介護職などが連携しあいながら、患者をサポートしていくこと=退院支援が必要となります。
退院支援はいつ、誰が行うか
病院に設置された退院を調整する部門の看護師や社会福祉士(ソーシャルワーカー)が専従となって行いますが、退院を見据えて入院後3日以内に退院困難が予想される患者を抽出しておく必要があるため、病棟の看護師も早期から退院支援に携わります。
退院支援の法律的な根拠
平成28年度の診療報酬改定において、在院日数を減らし、地域医療・地域包括ケアへの移行を推進するために、これまで算定されていた『退院調整加算』をベースに、『退院支援加算(1~3)』が新設されました。
退院支援加算1は一般病棟の場合、600点、療養病棟の場合、1200点を算定できます(1回のみ)。
退院支援加算1にある具体的な退院支援
①退院困難な患者の早期抽出:原則として入院後3日以内に患者の状況を把握する。
②入院早期の患者・家族との面談:原則として7日以内に患者・家族と病状や退院後の生活も含めた話合いを行う。
③退院支援計画の作成:入院後7日以内に作成に着手する。
④多職種によるカンファレンスの実施:入院後7日以内にカンファレンスを実施する(入院時カンファレンス)。
⑤退院調整部門の設置:専従1人以上(十分な経験をもつ看護師か社会福祉士)配置して部門を設置する。
⑥病棟への退院支援職員の配置:退院支援業務等に専従する職員を病棟に配置(2病棟に1名以上)。
⑦医療機関間の顔の見える連携の構築:連携する医療機関等(20か所以上)の職員と定期的な面会を実施(3回/年以上)
⑧介護保険サービスとの連携:介護支援専門員との連携実績
退院後の患者が、自宅で過ごして医療・介護職に訪問してもらいサービスを受けるのか、老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの施設に入ってサービスを受けるのか、その患者によりさまざまですので、加算の要件とはなっていませんが、患者の退院前には、『サービス担当者会議』などを行い、円滑な退院を目指します。
・厚生労働省:『平成28年度診療報酬改定の概要』(平成28年3月4日)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf
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