【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問138臨床「骨粗鬆症の病態」

33-138 骨粗鬆症に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)骨吸収は、閉経後に低下する。
(2)骨型アルカリホスファターゼは、骨吸収マーカーである。
(3)低カルシウム血症となる。
(4)食塩摂取過剰は、リスク因子である。
(5)治療には、ステロイド薬が用いられる。

正解:4

【解説】

国試でもたまに出題される骨粗鬆症の問題です。
国試的にざっくりいえば、骨粗鬆症=エストロゲン不足です。

1=×:骨吸収は閉経後に増加するため、誤った選択肢です。

骨は大人になっても骨吸収と骨形成を繰り返しており、これを骨のリモデリングといいます。

骨吸収とは、破骨細胞が古くて脆くなった骨に付着して破壊することです。
一方、骨形成とは、骨芽細胞がたんぱく質を分泌することでハイドロキシアパタイトを骨に沈着させることです。

女性ホルモンであるエストロゲンは、破骨細胞を抑制して骨吸収を低下させる作用があります。

閉経後にエストロゲンの分泌が低下すると、抑制されていた骨吸収が増加します。

2=×:骨型アルカリホスファターゼは骨形成マーカーであるため、誤った選択肢です。

アルカリホスファターゼ(ALP)はリン酸化合物を分解する働きを持つ酵素で、肝臓・小腸のほか、骨にも含まれます。骨に由来したアルカリホスファターゼを骨型アルカリホスファターゼといいます。

骨芽細胞はアルカリホスファターゼを産生するため、アルカリホスファターゼが高ければ骨形成が優位だと判断できます。

3=×:骨粗鬆症での血清カルシウム値は基準範囲内であるため、誤った選択肢です。

日本骨粗鬆症学会によれば、骨形成のために食事によりカルシウム800mg/日の摂取が推奨されています。

なお、低カルシウム血症が出じるのは、骨軟化症です。

4=○:食塩摂取過剰は骨粗鬆症のリスク因子であるため、正しい記述です。

食塩の過剰摂取により、カルシウムが尿中へ排泄されることを促進するため、リスク要因となります。

また、リンはカルシウムとともにハイドロキシアパタイトとして骨や歯を構成しているため骨形成に必要な栄養素ですが、リンを過剰摂取すると、カルシウムと結合してリン酸カルシウムとして尿に排泄され、血中カルシウムを低下させるため、リンの過剰摂取も骨粗鬆症のリスク因子です。

5=×:骨粗鬆症の治療には、ビスホスホネート製剤やエストロゲン製剤が用いられ、ステロイド薬は用いられないため、誤った選択肢です。

骨粗鬆症の治療薬を覚えるというよりも、ステロイドの長期投与によりステロイド性骨粗鬆症が発生することを知っていて欲しいという問題かと思われます。

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