【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問77 基礎「水溶性ビタミン」

35-077 水溶性ビタミンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)ビタミンB1は、ピルビン酸をアセチルCoA に変換する反応の補酵素である。
(2)ビタミンB6必要量は、たんぱく質摂取量の影響を受けない。
(3)ナイアシンは、グルタミン酸から合成される。
(4)ビタミンB12は、主に空腸で吸収される。
(5)ビタミンCは、還元型ビタミンE を酸化型に変換する。

正解:1

【解説】
(1)○:ビタミンB1は、ピルビン酸をアセチル CoA に変換する反応の補酵素である。
ビタミンB1(チアミン)は、解糖系の補酵素です。
解糖系でグルコースがピルビン酸まで代謝され、嫌気的条件では乳酸へと代謝されますが、好気的条件では、TCA回路に入ります。

ピルビン酸はそのままではTCA回路に入れず、ビタミンB1(チアミン)によりアセチルCoAに変換されて初めてTCA回路に入ることができます

(2)×:ビタミンB6必要量は、たんぱく質摂取量の影響を受ける。
ビタミンB6はたんぱく質代謝の補酵素です。
様々なアミノ酸の代謝にかかわっているため、たんぱく質の摂取量が多くなればビタミンB6の摂取量も増加します。

(3)×:ナイアシンは、トリプトファンから合成される。
なお、グルタミン酸はTCA回路の一要素(2-オキソグルタル酸)から合成されます。

(4)×:ビタミンB12は、主に回腸で吸収される。
ビタミンB12(コバラミン)は、小腸の回腸部から吸収されます。

ビタミンB12細胞の核酸合成に必要なビタミンで、ビタミンB12が不足すると造血幹細胞を十分に作ることができず、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を生じます

ここで重要なのが、ビタミンB12胃から分泌されるキャッスル内因子によって吸収を促進されるため、小腸の切除だけでなく、胃の切除によってもビタミンB12欠乏症≒巨赤芽球性貧血を生じるということです。

(5)×:ビタミンCは、酸化型ビタミンEを還元型に変換する。
ビタミンCには抗酸化作用があり、酸化して活性を失ったビタミンEを、還元型(酸素を除去した状態)のビタミンEに戻して、その活性を取り戻す働きがあります。

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