『ダンピング症候群』―胃切除後に注意すべき血糖変動による症状

ダンピング症候群とは、高浸透圧な食べ物が急激に腸に流れ込むことで生じるさまざまな症状をいいます。

ダンピング症候群は、主に胃の切除によって引き起こされます。

胃切除により消化管が短くなるとともに、経口摂取した食べ物が胃に貯められることなく、すぐに小腸へ到達するため、ダンピング症候群が生じます。

早期ダンピング症候群

食事直後から30分以内程度の早期では、小腸の食べ物がもつ浸透圧を薄めようと細胞内の水分が細胞外へと移動することで循環血流量が低下し、低血糖や動悸、冷や汗などを生じます。

これが早期ダンピング症候群です。

後期ダンピング症候群

食後2~3時間後には、今度は急速かつ大量に流入した食べ物が消化・吸収されることで、急激に血糖が高まります

血糖が高まることでインスリンの過剰分泌となり、その反動で低血糖が生じて、発汗、立ち眩み、めまい、疲労感などを生じます。

これが後期ダンピング症候群です。

後期ダンピング症候群では低血糖が生じるため、ブドウ糖の摂取が有効です。
さまざまな糖質のうち、ブドウ糖の摂取が推奨されるのは、単糖類のために分解・吸収が早いためです。

管理栄養士の国試的には、ブドウ糖の摂取は早期ダンピング症候群への対策か?後期ダンピング症候群への対策か?という点が重要です。

管理栄養士国試でのダンピング症候群に関する出題

第26回(2012年)問145

後期ダンピング症候群に関する記述である。□に入る正しいものの組合せはどれか。1つ選べ。 食事摂取後、一過性の□aにより、□bの分泌亢進が起こり、□cを呈する。a b c
(5)高血糖 ――― インスリン ――― 低血糖(○)

第31回(2017年)問138

消化管手術後の病態とその栄養管理の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
(2)胃切除後の早期ダンピング症候群 ――― 高炭水化物食(×)

第34回(2020年)問134

消化器手術と、それにより引き起こされる障害リスクの組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(4)大腸切除 ――― ダンピング症候群(×)

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