栄養素等摂取量の測定方法に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)食物摂取頻度調査法では、目安量食事記録法に比べ、調査員の熟練を必要とする。
(2)秤量食事記録法は、他の食事訓査法の精度を評価する際の基準に用いられる。
(3)食物摂取頻度調査法の質問票の再現性は、生体指標(バイオマーカー)と比較して検討される。
(4)24時間食事思い出し法は、高齢者に適した調査法である。
(5)陰膳法による調査結果は、食品成分表の精度の影響を受ける。
正解:2
【解説】
食事調査法は、国試で必ず出題されるテーマです。
各調査方法と、その特徴(長所と短所)をセットで覚えましょう。
1=×:食物摂取頻度調査法は、一定の食品を列挙した調査票をもとに対象者にその食品の過去の習慣的な摂取頻度を質問する調査方法です。
あらかじめ一定の書式のある調査票を用いて調査するため、調査員の熟練度に依存せず、一定の成果をあげられる調査方法となります。
したがって、この選択肢は誤りです。
2=○:秤量食事記録法(秤量法)とは、摂取した食物を調査対象者が自分で調査票に記入する調査方法です。食品の重量のみを記入する場合は目安量法となります。
秤量法は、摂取したすべての食品の名前と量を記入してもらうため、定量性が高い調査となります。
したがって、秤量法は、他の調査法を評価する、ゴールドスタンダードとされています。
3=×:生体指標(バイオマーカー)とは、血液や尿などの生体を採取して食事の影響を分析する方法です。
つまり、生体指標は直接食事を分析する訳ではなく、生体を間に介在させて、食事の栄養素を推定する代替的な指標となります。
したがって、生体指標は、他の調査法の精度や再現性を検討するために用いるのは不適切であり、本選択肢は誤りです。
4=×:24時間食事思い出し法は、その名のとおり、対象者に面接を行い、調査日前日の食事内容を思い出してもらって、その結果を聞き取る調査です。
対象者は思い出し期間が前日1日だけなので、比較的思い出しやすく、調理品の名称、目安量だけを聴取できれば食品成分値表から摂取栄養素量を推定できるため、対象者が回答しやすい調査です。
一方、対象者の記憶力に依存した調査であるため、記憶力が低下しがちな高齢者や、食事などを記憶する習慣がない小児などには不向きな調査となります。
したがって、この選択肢は誤りです。
なお、24時間食事思い出し法は、対象者から食事について上手に聞き出す必要があるため、調査員には熟練を必要とする調査となります。
5=×:陰膳法(かげぜんほう)とは、摂取した食事と同じ食事を用意してもらい、その食事を直接科学的に分析することで、摂取した栄養素量を推定する方法です。
直接食事を分析するので食品成分表を用いなくてもよく、精度も高い調査法です。
したがって、この選択肢は誤りです。
一方、陰膳法は、調査対象の世帯に調査のためにもう1食分の食事を用意してもらったり、実際にその食事を測定したりと、非常に手間やコストを要する調査となります。