【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問2 社会「人口指標(出生率・死亡率)」

34-002 わが国の人口指標のうち、最近減少しているものである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)合計特殊出生率
(2)65歳以上人口に占める75歳以上人口の割合
(3)従属人口指数
(4)粗死亡率(全死因)
(5)年齢調整死亡率(全死因)

正解:5

【解説】

人口指標の問題は国家試験で頻出のテーマです。
指標が示す意味や計算式を必ず覚えておきましょう。

1=×:合計特殊出生率は、最近上昇傾向にあるため、誤った選択肢です。

日本は現在、少子高齢化が社会的な問題になっています。

なぜ少子化=生まれてくる子どもの数の減少が進んでいるのかといえば、一人当たりの妊婦が出産する児の数自体は増えているものの、そもそも子どもを産もうとしている人や子どもを産むことができる人の数が減っているために出生率が低いということが大事な知識になっています。

つまり、合計特殊出生率は上昇しているけれども、出産適齢期の人の数が減っていたり、子どもを産みたいけど実際に産めていない人が多いんです、という理解が重要です。

しかし、ちょっと注意したいのが、2020年の統計です。

合計特殊出生率が今まで上昇傾向にありましたが、2020年では新型コロナウイルス感染の影響が大きく、出生率は大きく低下し、出生数は85万人を割り込む戦後最少になる見通しです。

何が言いたいかというと、合計特殊出生率は最近上がってるか下がってるかという問題は、年度によって解釈が異なるので国試では出題しにくいということです。

したがって、出生数という絶対数は問われる可能性があると思います。

2=×:65歳以上人口に占める75歳以上人口の割合は増加しているので、誤った選択肢です。

日本は高齢化がさらに進んで超高齢化となっています。
戦後直後のベビーブーム世代=団塊世代が、2025年に75歳=後期高齢者になり、医療費・社会保障費の負担が大きくなることが社会問題となっています。

つまり、この選択肢は“2025年問題を知ってますか?”という問いといえます。

3=×:従属人口指数は上昇しているため、誤った選択肢です。

従属人口は、働いてない人達の人数で子どもや高齢者の人口のことです。
また、従属人口指数とは、全人口数に対する従属人口数の割合です。

子どもはともかく、高齢者数は増加しており従属人口指数は増加しているため、誤った選択肢です。

4=×:粗死亡率(全死因)は上昇しているため、誤った選択肢です。

粗死亡率とは、全人口数に対する死亡者数の割合であり、単純に死んだ人の数(絶対数)の多さを示す指標です。

日本では高齢者が多く、火葬場が順番待ちなんて話を聞くこともあるくらい多死社会です。
つまり、粗死亡率は上昇しているといえます。

5=○:年齢調整死亡率(全死因)は減少しているため、正しい記述です。

年齢調整死亡率とは、粗死亡率とは異なり、各年代における死亡率のことです。
例えば、60歳代の人口数における死亡者数の割合は、上昇しているか減少しているかということです。

高齢化により死亡の絶対数は増えていますが、医療の発達によって各年代における死亡率というものは昔に比べて減っています。したがって、本選択肢は正しいです。

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