32-094 思春期の女子に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 思春期前に比べ、エストロゲンの分泌量は減少する。
(2) 思春期前に比べ、皮下脂肪量は減少する。
(3) 貧血の多くは、巨赤芽球性貧血である。
(4) 急激な体重減少は、月経異常の原因となる。
(5) 神経性やせ症(神経性食欲不振症)の発症頻度は、男子と差はない。
正解:4
【解説】
1=×:思春期前に比べ、思春期ではエストロゲンの分泌量は増加するため、誤った選択肢です。
思春期の女子は第二次性徴を迎え、女性ホルモン=エストロゲンの分泌量が増加します。
2=×:思春期前に比べ、思春期では皮下脂肪量は増加するため、誤った選択肢です。
思春期の女子は第二次性徴を迎え、女性ホルモン=エストロゲンの分泌量が増加しますが、エストロゲンは余分な脂肪を皮下脂肪として蓄える働きがあります。
エストロゲンのこの作用により、思春期以降の女性は女性らしい丸みを帯びた体になります。
3=×:思春期の貧血の多くは、鉄欠乏性貧血であるため、誤った選択肢です。
思春期の女子では、月経により血液を失うようになります。血液の損失により血中の鉄分も喪失するため、思春期の女子では鉄欠乏性貧血が起きやすくなります。
なお、巨赤芽球性貧血とは、細胞の成長に必要な葉酸やビタミンB12が不足することで、赤芽球が赤血球となれず未熟で巨大な巨赤芽球となり、正常な赤血球が不足することで生じる貧血です。
思春期とビタミンB12不足には直接的な関係がありません。
4=○:急激な体重減少は、月経異常の原因となるため、正しい記述です。
体重が減少すると、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つであるレプチンの分泌が低下します。
レプチンは脳の視床下部にある食欲中枢に作用して食欲を抑制するだけではなく、視床下部からのホルモン分泌を刺激しているため、レプチンが減少するとホルモン分泌が抑制されて無月経となります。
脂肪が少ないアスリートなどで無月経が起きるのは、このためです。
5=×:神経性やせ症(神経性食欲不振症)の発症頻度は、男子よりも女子が多いため、誤った選択肢です。
神経性やせ症(神経性食欲不振症)は、体重やボディイメージについて過剰でゆがんだ認識を持つことが原因で、拒食や過食などの食異常行動により痩せてしまう疾患です。
体重やボディイメージなど、外見についての意識は男子よりも女子が高いため、神経性やせ症は女子に起こりやすい精神疾患です。
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