【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問83応用「栄養アセスメントの方法」

34-083 栄養アセスメントに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)食事記録法による食事調査では、肥満度が高い者ほど過大申告しやすい。
(2)内臓脂肪面積は、肩甲骨下部皮下脂肪厚で評価する。
(3)上腕筋面積は、体重と上腕三頭筋皮下脂肪厚で算出する。
(4)尿中クレアチニン排泄量は、筋肉量を反映する。
(5)窒素出納が負の時は、体たんぱく質量が増加している。

正解:4

【解説】
1=×:食事記録法による食事調査では、肥満度が高い者ほど過小申告しやすいため、誤った選択肢です。

食事記録法では、対象者自身が食事を測量(秤量法)したり、目分量で記録して(目安法)、調査票に記録します。

肥満度が高い人ほど、自分の食事量を少なく見せかけようと、実際よりも少なく申告する(調査票に記入する)ことが多くみられます。

2=×:内臓脂肪面積は、腹腔内の腸のまわりの脂肪の厚さで評価するため、誤った選択肢です。

肩甲骨下部皮下脂肪厚で評価するキャリパー法は、体脂肪を測定する方法です。

3=×:上腕筋面積は、上腕三筋囲と皮下脂肪厚から算出するため、誤った選択肢です。

体重は関係ありません。

4=○:尿中クレアチニン排泄量は、筋肉量を反映するため、正しい記述です。

クレアチニンに似た用語として、クレアチンやクレアチンキナーゼがあります。

クレアチンとはアルギニンからできるアミノ酸の一種で、エネルギー源として筋肉に多く存在しています。

クレアチンはクレアチンキナーゼ(CK)という酵素からATPとともに代謝を受けて、ATPから外れたリン酸とクレアチンが結合してクレアチンリン酸となり、リン酸を失ったATPがADPになります。

そして、エネルギーとして活用されたクレアチンやクレアチンリン酸は、クレアチニンという老廃物になって、腎臓でろ過されて尿として排出されます。

したがって、尿中クレアチニンにより、筋肉に多く含まれるクレアチンを推定できるため、尿中クレアチニンは筋肉量を反映する指標となります。

5=×:窒素出納が負の時は、体たんぱく質量が減少しているため、誤った選択肢です。

窒素出納(ちっそすいとう)とは、体内に窒素がどれだけ出入りしているかの収支を示すものです。

体内の窒素量が多ければ窒素出納は正(プラス)となりますし、窒素量が少なければ負(マイナス)となります。

窒素はたんぱく質に含まれるため、体たんぱく質量が減少すれば、すなわち体内の窒素量も減少しているので、窒素出納は負となります。


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