【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問116臨床「医薬品の作用」

34-116 医薬品とその作用の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)サイアザイド系利尿薬――――血清尿酸値低下
(2)β遮断薬――――気管支拡張
(3)カルシウム拮抗薬――――血管収縮
(4)アンジオテンシン変換酵素阻害薬――――尿中ナトリウム排泄促進
(5)アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬――――血清カリウム値低下

正解:4

【解説】

最近のトレンドである医薬品の作用についての出題です。

これまでの国試では、食べ物と医薬品の相互作用を出題することが多いかったですが、第33回(2019年)頃からは、薬理を問う出題も増えてきました

この問題で取り上げられた薬剤は循環器系薬剤では処方数も多く基本的なものですので、しっかり覚えておきましょう。

1=×:サイアザイド系利尿薬は尿酸値を上昇させるおそれがあるため、誤った選択肢です。

サイアザイド系尿薬やループ系利尿薬は、急激に細胞外液を低下させるため、尿酸値を高めて高尿酸血症をおこすおそれがあります。

なお、利尿薬の中でカリウム保持性利尿薬は尿酸代謝への影響が少ないとされています。

2=×:β遮断薬は心疾患への治療薬のため、誤った選択肢です。

心臓では交感神経のβ1受容体が機能に関与しています。

そのため、β1受容体を遮断(阻害)すると心機能が抑えられて心臓の仕事量が減少し、血液を送り出す量が減り、血管における血液量の減少によって血圧が低下します。そのため降圧薬として用いられます。

また心機能を抑えることで心拍数を低下させるため、頻脈性不整脈などにも用いられます。

なお、β遮断薬は気管支を拡張させるβ2受容体を遮断する作用もあるため、気管支喘息の患者には不適切です。

3=×:カルシウム拮抗薬は、血管を拡張させて血圧を低下させるため、誤った選択肢です。

なお、カルシウム拮抗薬はカルシウムチャネルに作用することから、不整脈の治療薬としても用いられます。

4=○:アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は、尿中ナトリウムの排泄を促進するため、正しい記述です。

血圧を調整しているレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)についての理解を問う問題です。

肝臓から分泌されたアンジオテンシノーゲンは、腎の糸球体から分泌されたレニンにより代謝を受けて、アンジオテンシンⅠになります。

アンジオテンシンⅠはアンジオテンシン変換酵素により代謝を受けて、アンジオテンシンⅡになります。

アンジオテンシンⅡは尿細管におけるナトリウムの再吸収を促進して、血中にナトリウムを取り込みます。

すると、血液の浸透圧が高まるため、これを薄めようと血液中の水分が増えて循環血液量が増加し、血圧が高まります。

つまり、アンジオテンシンⅡは血中ナトリウム濃度を高めるホルモンです。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡに変換されることを阻害するため、アンジオテンシンⅡの作用が働かず、血中にナトリウムを取り込めずに尿中に排泄されます。

5=×:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は血清カリウム値を上昇させるため、誤った選択肢です。

アンジオテンシンⅡはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系において、アルドステロンを分泌させる働きがあります。

アルドステロンは腎臓でナトリウムを再吸収するとともに、カリウムを排出させる作用があります。

つまり、アルドステロンは血中ナトリウム濃度を高めるとともに、降圧効果のあるカリウムを減らすため、高血圧へと働くホルモンです。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は、このアルドステロンの作用を阻害するのですから、――血清カリウム値は上昇します。


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