【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問3 社会「平均寿命・平均余命・健康寿命」

35-003 平均寿命、平均余命および健康寿命に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)平均寿命は、その年に死亡した者の年齢を平均して算出する。
(2)平均余命は、ある年齢の者のその後の生存年数の実測値である。
(3)健康寿命は、人口動態統計を用いて算出する。
(4)平均寿命が短くなるほど、健康寿命は延びる。
(5)悪性新生物による死亡がなくなれば、平均寿命は延びる。

正解:5

【解説】

(1)×:平均寿命は、その年の0歳時の平均余命である。
平均寿命を求める場合、その年に死亡した者の年齢の実測値を平均して算出すると、年齢構成比の影響を受けてしまい、人口構成上の人数が多い高齢者の死亡数に影響されてしまいます。そのため、平均寿命は、平均余命を用いて計算しています。

(2)×:平均余命は、ある年齢の者のその後の生存年数の期待値である。

(3)×:健康寿命は、国民生活基礎調査を用いて算出する。
人口動態統計は、届け出などによる客観的な数値に基づいた統計資料です。例えば出生数ならば、出生届などで客観的に把握でき、寿命なども死亡届から死亡時年齢を把握して計算することができます。一方、健康寿命とは、健康とは何か、自分は健康かという主観的な評価が必要となり、人口動態統計では補足していない項目となります。当人が健康かどうかの評価は、国民生活基礎調査の大規模調査(3年おきに実施)において、「自分は健康かどうか」という質問の回答数によって、健康寿命が算出されています。

(4)×:平均寿命が短くなるほど、健康寿命も短くなる。
健康寿命とは、他者の介護などがなく自律的に生活ができている期間のことです。そのような健康な期間から、自律的に生活できない期間に突入した後に死を迎えます。この死までの期間が寿命となりますので、この平均寿命が短くなれば、自律的に生活できない不自由な期間や健康に生活できる期間も短くなります。

(5)〇:悪性新生物による死亡がなくなれば、平均寿命は延びる。
わが国で年齢調整死亡率が高い疾患は、悪性新生物(がん)であり、死因の第1位となっています。がんによる死亡がなくなれば、がんで失われる命が減り、平均寿命は延伸します。したがって、正しい記述です。なお、悪性新生物(がん)による死亡がなくなれば、平均寿命は5~7年延伸すると考えられています。

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