35-079 体水分に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)体重1kg 当たりの水分量は、体脂肪率が高い者の方が低い者より多い。
(2)成人の体水分の分布は、細胞内液よりも細胞外液の方が多い。
(3)栄養素1g当たりの代謝水は、脂質が最も多い。
(4)不可避尿量は、飲水量に影響される。
(5)水分必要量は、不可避尿量と等しい。
正解:3
【解説】
(1)×:体重1kg 当たりの水分量は、体脂肪率が高い者の方が低い者より少ない。
全身の約60%は水分で構成されていますが、脂肪細胞には水分を25%程度しか含まれないため、脂肪が多ければ、全身に占める水分の割合は低くなります。
(2)×:成人の体水分の分布は、細胞内液よりも細胞外液の方が少ない。
細胞外液とは、血管を流れる血液と、細胞同士にある間質液のことです。
細胞内液は、細胞外液よりも約2倍の多く体内に分布しています。
細胞内液が細胞外液より多いのは、細胞外液≒循環血液量が低下した場合、細胞内液から水分を供給して血圧を一定に保つ役割もあるためです。
(3)○:栄養素1g当たりの代謝水は、脂質が最も多い。
代謝水とは、エネルギーとして分解・消費される時に発生する水分のことです。
エネルギーを産生する栄養素は、たんぱく質・炭水化物・脂質ですが、脂質が一番エネルギー産生量が多く、1g当たり9kcalのエネルギーを産生します。たんぱく質や炭水化物は1g当たり4kcalのエネルギー産生です。
したがって、エネルギー産生が多い脂質が、代謝水が最も多くなります。
なお、エネルギー産生栄養素がどれだけエネルギーを産生するかを示すこれらの数値は、アトウォーター係数といいます。
(4)×:不可避尿量は、飲水量に影響されない。
不可避尿とは、体内の老廃物を排泄するために必要な最低限の尿量のことです。
一方、水分摂取や発汗での水分喪失で増減した分の残りの水分が排泄される尿を可避尿といいます。
つまり、尿とは不可避尿と可避尿を合わせたものとなり、不可避尿量は飲水量の影響を受けません。
(5)×:水分必要量は、不可避尿量よりも多い。
水分の排泄は、尿によっての排泄以外にも、糞便による排泄にも含まれますし、発汗などの不感蒸泄もあるため、水分必要量>不可避尿量となります。
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