【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問119臨床「肥満における超低エネルギー食(VLCD)」

34-119 超低エネルギー食(VLCD)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)対象は、BMI 35.0kg/m2以上とする。
(2)治療食は、外来通院で開始する。
(3)期間は、6か月継続する。
(4)目標エネルギー量は、1,000kcal/日に設定する。
(5)たんぱく質の必要量は、0.8g/kg 標準体重/日に設定する。

正解:1

【解説】

超低エネルギー食療法(VLCD;Very Low Calorie Diet)とは、600 kcal/日以下のエネルギー量となる食事療法で、高度肥満(肥満度3度=BMI35以上)に適応される食事療法です。

(1)=○:超低エネルギー食療法(VLCD)の対象は、BMI 35.0kg/m2以上とする。
日本肥満学会による『肥満症診療ガイドライン2016』では、BMI 35.0 kg/m2以上は高度肥満に当たり、20~25 kcal/kg標準体重/日の食事制限や運動療法の実施後に改善が見られない高度肥満に対しては、肥満症治療食として超低エネルギー食療法(VLCD)を導入するとされています。

(2)=×:超低エネルギー食(VLCD)食療法は、入院で開始する。
超低エネルギー食(VLCD)は、600kcal/日以下と極度にエネルギー量を制限し、低血糖などのリスクがあるため、入院時に医師の監視下のもと行うため、誤った選択肢です。

(3)=×:超低エネルギー食(VLCD)食療法の期間は、1~3週間程度継続する。
超低エネルギー食(VLCD)は、長期間実施するとエネルギー不足により脱毛などのおそれがあるため、実施期間は1~3週間程度の短期間が推奨されています。

(4)=×:超低エネルギー食(VLCD)での目標エネルギー量は、600kcal/日以下に設定する。

(5)=×:たんぱく質の必要量は、0.8g/kg 標準体重/日に設定する。
超低エネルギー食(VLCD)実施時=高度肥満時は、エネルギー摂取量を制限し炭水化物の摂取を制限するため、たんぱく質や脂質によるエネルギー摂取が必要となります。

たんぱく質が欠乏することで、窒素バランスが乱れて筋肉量が低下するなどのおそれがあるため、高度肥満でのたんぱく質摂取量は通常よりやや多い、1.0~1.2g/kg標準体重/日となります。

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