【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問120臨床「糖尿病の治療」

糖尿病治療に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)糖尿病食事療法のための食品交換表を用いて、栄養食事指導を行う。
(2)カーボカウントを用いて、インスリン量を決定する。
(3)有酸素運動は、インスリン抵抗性を改善する。
(4)α-グルコシダーゼ阻害薬は、肝臓での糖新生を抑制する。
(5)超速効型インスリン注射は、食後高血糖を改善する。

正解:4

【解説】
1=○:糖尿病では糖尿病食事療法のための食品交換表を用いて食事指導をするため、正しい記述です。

2=○:糖尿病ではカーボカウントを用いてインスリン量を決定するため、正しい記述です。

カーボカウントとは、炭水化物(カーボハイドレート)の摂取量をカウントすることで、その炭水化物=糖の量に見合うインスリン量を注射して、血糖を調整する方法です。

3=○:有酸素運動はインスリン抵抗性を改善するため、正しい記述です。

ランニングや水泳などの有酸素運動を行うと、筋肉で糖(グルコース)がエネルギーとして利用されるため、インスリンが対応すべき糖が減ることで、インスリン抵抗性が改善します。

4=×:α-グルコシダーゼ阻害薬は、肝臓での糖新生ではなく、二糖類の分解を抑制するため、誤った記述です。

食事により摂取された炭水化物は、小腸でαアミラーゼにより二糖類に分解されます。

さらに二糖類は、小腸粘膜上皮細胞にある二糖類を分解する酵素「α-グルコシダーゼ」により単糖類(グルコース)にまで分解されて吸収されます。

α-グルコシダーゼ阻害薬は、このα-グルコシダーゼによる代謝を阻害して二糖類の分解・吸収を抑制することで、血糖の増加を抑えます

「グルコシダーゼ」という名称から、グルコースの代謝酵素だとわかれば、糖新生ではないと判断できるのではないでしょうか。

なお、糖新生自体を抑制する作用をもつ経口血糖降下薬は、ビグアナイド薬などです。

5=○:超速効型インスリン注射は、食後30分~1時間で効果を発揮して高血糖を改善するため、正しい記述です。

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