【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問125臨床「糖尿病患者の栄養管理」

33-125 55歳、男性。身長170cm、体重65kg、BMI 22.5kg/m2、普通の労作。血糖コントロール不良により強化インスリン療法(毎食前超速効型インスリンと就寝前持続型インスリンを注射)が導入された2型糖尿病患者の栄養管理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)エネルギー摂取量は、30~35kcal/kg標準体重/日とする。
(2)炭水化物エネルギー比率は、50~60%Eとする。
(3)食事はインスリン注射後、直ちに摂取する。
(4)低血糖発作時には、ブドウ糖を摂取する。
(5)シックデイ時には、水分の摂取量を制限する。

正解:5

【解説】
1=○:普通の労作におけるエネルギー摂取量は30~35kcal/kg標準体重/日であるため、正しい記述です。

2=○:糖尿病患者での炭水化物エネルギー比率は50~60%Eであるため、正しい記述です。

3=○:食事はインスリン注射後、直ちに摂取する必要があるため、正しい記述です。

インスリン製剤の注射は、健康な人での血中のインスリンの変動パターンを模倣することが目的です。

通常、体内のインスリンは血糖が高まった後に分泌量が増えて、血糖を抑制しますが、インスリン製剤は体内で効果を発揮するまでに時間を要するため、食前投与が基本です。

ただし、超速効型インスリン製剤などは15分ほどで作用発現するものもあるため、食直前に投与する場合もあります。

4=○:低血糖発作時にはブドウ糖の摂取が有効であるため、正しい記述です。

低血糖は、インスリン製剤や経口血糖降下薬などで過剰に作用することや、食事量が不足することで発生します。

血糖=血中グルコース濃度が低下すると、動悸、脱力、意識レベルの低下などが生じます。

これを防ぐために、糖分の補給が必要となりますが、糖分のうち、構造が単純な糖分が吸収されやすいため、ブドウ糖(10g)や砂糖(ショ糖20g)を摂取します

5=×:シックデイ時には十分な水分を摂取するため、誤った記述です。

糖尿病では、高血糖により好中球の機能が低下したり血流が悪化することで抵抗力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなります。

糖尿病患者が、感染症にかかり、発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで食事ができないときのことを「シックデイ」(体調の悪い日)といいます。

食事が採れないために低血糖がみられたり、インスリン製剤が効きにくくなって高血糖がみられます。

シックデイでは下痢や嘔吐により水分を失うため、十分な水分摂取が必要となります。

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