【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問44人体「感染症の感染経路」

33-044 感染症の感染経路に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)結核は、空気感染である。
(2)コレラは、水系感染である。
(3)アニサキスは、いかの生食で感染する。
(4)風疹は、胎児に垂直感染する。
(5)C型肝炎は、経口感染である。

正解:5

【解説】
1=○:結核は空気感染するため、正しい記述です。

結核では、咳やくしゃみにより結核菌が空気に飛び散り、それを吸い込んだヒトに感染が成立する空気感染の疾患です。

2=○:コレラは、コレラ菌によって汚染された水や食物を経口摂取することで感染する水系感染であるため、正しい記述です。

3=○:アニサキスは、いかに生息する寄生虫であり、いかの生食で感染が成立するため、正しい記述です。

アニサキスは、白くて細いミミズのような寄生虫で、いかのほか、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケなどの魚介類に寄生します。

いかの刺身に飾り包丁が入っているのは、アニサキスを切り殺して食中毒を防止するためです。

4=○:風疹は、胎児に垂直感染するため、正しい記述です。
風疹は母体である母親が感染していると、その胎児にも感染してしまう疾患です。
母親から子どもに感染することを母子感染といい、このような親から子に感染することを垂直感染といいます。

風疹は垂直感染するため、妊娠の予定や可能性がある女性には風疹ワクチンの接種が勧められています

5=×:C型肝炎は、経口感染ではないので、誤った記述です。
肝炎はA型~E型まで種類があり、A型肝炎とE型肝炎が経口感染です。

A型肝炎は、糞便に汚染された水を経口摂取することでA型肝炎ウイルスに感染して発症する肝炎です。上水道・下水道の整備が不十分な発展途上国などへの旅行中で感染がみられます。

E型肝炎は、野生の動物の生肉を経口摂取することでE型肝炎ウイルスに感染して発症する肝炎です。ジビエを生食することで感染がみられます。

逆に、B型肝炎やC型肝炎は経口感染ではありません。

B型肝炎は母子感染や性交渉によって感染し、C型肝炎は主に輸血や針刺し事故によって肝炎ウイルスに感染して発症します。

出産や手術での大量出血時に血液製剤を使用しますが、以前の血液製剤では血液中のC型肝炎ウイルスを無効化できないまま製造していたため、1994年以前で血液製剤を用いた人にC型肝炎感染のおそれがあり、いわゆる薬害肝炎事件として社会問題となりました。

今でも薬害肝炎の保証についてテレビCMなどで見かけることもあると思いますので、C型肝炎は経口感染ではないな、と見当がつくのではないでしょうか。


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