【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問43人体「免疫・アレルギー疾患」

33-043 免疫・アレルギー疾患とその特徴的な症候の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)急性糸球体腎炎――――低血圧
(2)強皮症――――蝶形紅斑
(3)シェーグレン症候群――――唾液分泌低下
(4)バセドウ病――――体重増加
(5)橋本病――――眼球突出

正解:3

【解説】
1=×:急性糸球体腎炎では高血圧がみられるため、誤った選択肢です。

急性糸球体腎炎とは、主に細菌感染により腎臓の糸球体に炎症が生じて腎機能が低下する疾患です。

腎機能が低下すると、糸球体に孔が開いてたんぱくがろ過できずに尿たんぱくとなって排出されたり、余分な水分やナトリウムを排出できないために体に水分と塩分が蓄積します。

水分と塩分が多くなることから、血圧は上昇します。

2=×:強皮症でみられるのは、蝶形紅斑ではなく皮膚の硬化や胃食道逆流症などであるため、誤った選択肢です。

強皮症とは、自己免疫の異常を主な原因として、皮膚や内臓が硬化する免疫疾患です。

こちらもシェーグレン症候群と同様になぜ自己免疫が異常をきたすかは明らかになっていません(指定難病)。

また、強皮症では、食道が硬化することもあり、食道が硬化することで蠕動運動がしにくくなり、食物を飲み込みにくい、胸につかえる、横になると逆流してくるなどの逆流性食道炎(GERD)がみられます。

なお、蝶形紅斑とは、顔に蝶のような皮膚の赤みがみられる症状で、全身性エリテマトーデスの典型的な症状です。

3=○:シェーグレン症候群では唾液の分泌が低下するため、正しい記述です。

シェーグレン症候群とは、自己免疫の異常により唾液腺や涙腺の組織が崩壊することで、ドライアイ口腔乾燥がみられる免疫疾患です。

なぜ自己免疫が異常をきたすかは明らかになっていません(指定難病)。

機序が明らかでないので、シェーグレン症候群=乾燥と覚えておきましょう。

4=×:バセドウ病では体重減少がみられるため、誤った選択肢です。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは、自己免疫の異常により自己抗体が甲状腺を刺激することで、過剰に甲状腺ホルモン(T3、T4)を産生・分泌させてしまう免疫・代謝疾患です。

甲状腺ホルモン(T3、T4)は身体の代謝を促すホルモンであるため、甲状腺ホルモンが過剰となると代謝=エネルギー消費が高まります。

したがって、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)では体重減少がみられます。

また、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)で特徴的な症状として、眼球突出があります。

バセドウ病では自己抗体の異常により眼の周りの筋肉や脂肪で炎症が起きます。その炎症によって腫れが起きるため、眼窩内圧(眼の中の圧力)が高くなり、眼球が前に押し出されます

国試レベルでは、バセドウ病=体重減少・眼球突出と覚えておきましょう。

5=×:橋本病でみられるのは眼球突出ではなく、代謝の低下であるため、。誤った選択肢です。

橋本病(甲状腺機能低下症)とは、自己免疫の異常により自己抗体が甲状腺を刺激することで、甲状腺が慢性的な炎症状態となることで、甲状腺組織が破壊され、甲状腺ホルモン(T3、T4)の産生・分泌が低下する免疫・代謝疾患です。

甲状腺ホルモン(T3、T4)が不足すると全身の代謝が低下するので、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加などさまざまな症状が現れます。

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