【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問187-189応用力試験「卵アレルギー児をもつ授乳婦への栄養管理」

次の文を読み「187」、「188」、「189」に答えよ。

K市保健センターの管理栄養士である。相談者は、K市在住の 35歳、女性。第1子妊娠中である。

34-187 プレママ・パパ教室の際に、「姉の子どもが卵アレルギーだったので、自分の子どもも心配です。今後、私や子どもの食事で気を付けることは何ですか。」と相談を受けて助言した内容である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。

(1)妊娠中の今から、あなた自身の卵の摂取を控えましょう。
(2)出生後に母乳を与える際には、あなた自身の卵の摂取を控えましょう。
(3)離乳食を開始する時期を遅らせましょう。
(4)初めて卵を与える際には、よく加熱した卵黄にしましょう。

正解:4

【解説】

食物アレルギーについての問題です。

アレルゲンや免疫反応についての知識=食べ物と健康領域と、食物アレルギーへの食事指導という臨床栄養学領域、そしてそれらの知識を対象者にどう伝えるかという栄養教育論領域の知識・判断が問われる問題です。

食物アレルギーをはじめとするアレルギー反応は、アレルゲンが過剰に反応した場合、体内でIgE抗体が作られてマスト細胞と結合し、そこにさらにアレルゲンが結合することでヒスタミンなどの炎症性物質が出ることで引き起こされます。

食物アレルギー=IgE抗体というのも国試でよく出るので、覚えておいて下さい。

1=×:生まれる子どもの食物アレルギーを懸念して、妊娠中の妊婦自身がアレルゲンとなる卵の摂取を控えることは、日本アレルギー学会編『アレルギー総合ガイドライン2019』や『患者さんに接する施設の方々のためのアレルギー疾患の手引き(2020年改訂版)』で推奨されていないため、誤った選択肢です。

2=×:出生後の母乳を与える際に、授乳婦自身が卵の摂取を控える必要はないため、誤った選択肢です。

前述のガイドライン2020年では、同ガイドライン2016年版から、次のように引用されています。

食物アレルギーの発症予防のために妊娠中と授乳中の母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は
母体と児に対して有害な栄養障害を来すおそれがある。

3=×:食物アレルギーを懸念して、離乳食を開始する時期を遅らせる必要はないため、誤った選択肢です。

同ガイドライン2020年版では、食物アレルギーに関連した離乳食の開始時期は、『授乳・離乳のガイド』に準拠し、生後5〜6か月であり、食物アレルギーの発症を心配して離乳食の開始時期を遅らせることは推奨されないとされています。

4=○:卵の白身の部分(卵白)はオボアルブミンやオボムコイドというたんぱく質でできていますが、このオボアルブミンやオボムコイドがアレルゲンとなり、鶏卵による食物アレルギーを引き起こします。

オボアルブミンやオボアルブミンは卵黄には含まれておらず、オボアルブミンは加熱によりたんぱく質構造が変化してアレルゲンではなくなるため、初めて鶏卵を与える場合は、アレルゲンがほぼなく、かつ加熱した卵黄を与えるのが適切です。

34-188 7か月乳児健康診査の際に、「卵を初めて与えてしばらくしたら、湿疹がひどくなって心配です」との相談を受けた。最初にすべきこととして助言した内容である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。

(1)離乳食を一時中止してください。
(2)卵を原料とした食品を全て除去してください。
(3)湿疹の治療を含めて、医師に相談してください。
(4)卵白特異的IgE抗体の検査を受けてください。

正解:3

【解説】
1=×

2=×

3=○

4=×

34-189 児が3歳になって、保育所に預けることが決まった。医師からは卵アレルギーの診断がなされている。この児を受け入れることが決まった民間保育所から、給食での対応をできる限り行いたいということで、K市保健センターに相談があった。助言内容として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)家庭でこれまで摂取したことのある食品の種類を把握し、記録してください。
(2)給食対応の単純化のために、完全除去を基本としてください。
(3)調理室でアレルゲンの混入が起こりにくい献立にしてください。
(4)除去食を開始した場合には、在園中は見直しの必要はありません。
(5)月別の献立表に使用食品について記載し、家族に配布してください。

正解:4

【解説】
1=○

2=○

3=○

4=×

5=○

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