【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問120 臨床「ビタミン欠乏症の栄養管理」

35-120 ビタミンとその欠乏症の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

ビタミンとその欠乏症の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)ビタミンD ―――― 甲状腺腫
(2)ビタミンB1 ―――― ペラグラ
(3)ナイアシン ―――― ウェルニッケ脳症
(4)葉酸 ―――― 高ホモシステイン血症
(5)ビタミンC ―――― 夜盲症

正解:4

【解説】
(1)×:ビタミンDが欠乏すると、くる病や骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進がみられる。
ビタミンDは、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きがあります。
したがって、ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症や、カルシウム不足によるくる病・骨粗鬆症がみられます。

また、カルシウムの吸収を高めようと副甲状腺ホルモンであるパラソルモン(PTH)の分泌が亢進するため、副甲状腺機能亢進症がみられます。

ビタミンD欠乏は、甲状腺腫の発症の直接的な原因ではありません。

(2)×:ビタミンB1 が欠乏すると、脚気やウェルニッケ脳症がみられる。
ビタミンB1 はグルコース代謝と分枝アミノ酸代謝などに関与しており、ビタミンB1 欠乏により、神経炎や脳組織への障害が生じます。また、脚気とウェルニッケ脳症が生じます

また、ビタミンB1 (チアミン)で覚えておきたいのが、グルコース代謝とのかかわりです。

解糖系において酸素がある状態では、ピルビン酸脱水素酵素とビタミンB1 であるチアミンにより、ピルビン酸はアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、ATPを産生します。

(3)×:ナイアシンが欠乏すると、ペラグラがみられる。
ペラグラは、ナイアシン(ニコチン酸とニコチンアミド)不足で生じ、皮膚炎、下痢、精神神経症状がみられます

(4)○:葉酸が欠乏すると、高ホモシステイン血症がみられる。
ホモシステインは必須アミノ酸であるメチオニンが代謝されると生成されるアミノ酸です。

メチオニンがホモシステインとなり、ホモシステインをシステインに代謝する際にビタミンB6が必要となり、ホモシステインをメチオニンに戻す際に葉酸が必要となり、葉酸はビタミンB12を必要とします。

したがって、ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸が欠乏すると、ホモシステインがメチオニンやシステインにできず、血中ホモシステイン濃度が高まります。

(5)×:ビタミンCが欠乏すると、壊血病がみられる。
ビタミンCは、コラーゲン繊維を作るために必要な栄養素です。
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの合成が低下し、血管壁や毛組織が脆弱になります。このため出血を引き起こしやすくなるのが壊血病です。

なお、夜盲症は、ビタミンAの欠乏が原因となる疾患です。

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