【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問98 教育「ヘルスビリーフモデル」

35-098 新入社員研修において、急性アルコール中毒に関する教育を担当することになった。ヘルスビリーフモデルの「罹患性の認知」に基づいた支援である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)急性アルコール中毒で辛い経験をした社員の例を話す。
(2)アルコール・ハラスメントについて話し合いをさせる。
(3)急性アルコール中毒で、救急搬送された際の医療費について教える。
(4)アルコールパッチテストの結果を、個別に返却し説明する。
(5)飲酒は適量までとすることのメリットについて考えさせる。

正解:4

【解説】
ヘルスビリーフモデルとは、適切な健康行動をとるには、本人に4つの認知が必要であるとする健康行動理論です。
その4つの認知とは下記のようなものです。
重大性の認知:疾患に罹ったらどれほど大変なであるかという認知。
罹患性の認知:自分が疾患に罹ってしまうかもしれないという認知。
利益生の認知:疾患に罹らないための健康行動をとることでどれだけの有益さがあるかという認知。
障害性の認知:疾患に罹らないための健康行動をとるためにどれだけ負担があるかという認知。

①重大性の認知と②罹患性の認知が揃って疾患の恐ろしさが認知され、③利益生の認知が④障害性の認知を上回れば、本人は適切な健康行動をとると考えられるという理論です。

(1)×:急性アルコール中毒で辛い経験をした社員の例を話すことは、疾患の辛さ・重大性を伝えることであるため、「重大性の認知」に当たる。

(2)×:アルコール・ハラスメントについて話し合いをさせることは、アルコール・ハラスメントの重大性や、アルコール・ハラスメントがもたらす悪影響、アルコール・ハラスメントを防止する負担など、アルコール・ハラスメントを客体として議論されることが考えられ、重大性・利益生・障害性の認知に当たると考えられる。しかし、アルコール・ハラスメントを自分がうけるかどうかという罹患性は主観的な話題であり、話し合いのではそぐわないため、罹患性の認知に基づく支援には当たらない。

(3)×:急性アルコール中毒で、救急搬送された際の医療費について教えることは、疾患治療における経済的な重大性を伝えることであるため、「重大性の認知」に当たる。

(4)○:アルコールパッチテストの結果を、個別に返却し説明することは、自分がどのくらい疾患にかかりそうかを本人が自覚することであるため、「罹患性の認知」に基づいた支援である。

(5)×:飲酒は適量までとすることのメリットについて考えさせることは、健康行動がもたらす有益性についてを扱うため、「有益性の認知」に当たる。


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