【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問119 臨床「栄養ケア記録」

35-119 問題志向型診療録(POMR)とその内容に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)問題志向型システム(POS)の第2段階に当たる。
(2)基礎データは、SOAPに分けて記載する。
(3)記録は、5W2H 方式で記載する。
(4)問題リストは、基礎データから時間の経過に沿って記載する。
(5)初期計画は、問題ごとに記載する。

正解:5

【解説】
問題志向型システム(POS)とは、患者のかかえる問題点を軸に、その問題点に応じた治療を提供するシステムです。

問題点を軸に記録していくことで、根拠に基づいた医療(EBM)が提供でき、その記録に基づいて多職種によるチーム医療も展開できます。また、提供した医療に対しての評価も行うことができるため、医療をより良いものにするためにも重要なシステムです。

(1)×:問題志向型診療録(POMR)は、問題志向型システム(POS)の第1段階に当たる。
問題志向型システム(POS)は、第1段階として問題志向型診療録(POMR)による医療記録、第2段階としてPOMRの監査、第3段階として記録の修正という3段階から構成されます。

(2)×:基礎データは、患者の主訴・現病歴・現症・既往症・生活環境・食餌などの基本的な情報をまとめて記載する。
問題志向型診療録(POMR)は、①基礎データ、②問題リスト、③初期計画、④経過記録から構成されます。

①基礎データでは、患者プロフィール、主訴、現病歴、既往歴、身体所見(現症)、検査データ、食事・栄養調査などの情報が記載され、今後の治療の判断材料となります。

なお、SOAPに分けて記載するのは、①基礎データではなく、④経過記録に当たります。

(3)×:問題志向型診療録(POMR)の記録は、SOAP形式で記載する。
5W2H方式とは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どうのように)、How Much/Many(いくら、いくつ)について記載する方法です。

5W2H方式は、行動について詳細に記述できるため、具体的でわかりやすい反面、記録する負担が大きい方式です。また、どこまでが客観的な事実で、どこからが解釈・判断なのかが読み取りにくいという短所もあります。

5W2H方式はその簡便さから介護領域で多く用いられている記述方式ですが、医療領域ではSOAP方式が主流です。

SOAP方式では、客観的な事実や、主観的な情報、評価などを区別して記載する方式のため、根拠や行った行為の評価がしやすい長所があります。

(4)×:問題リストは、時間の経過にとらわれずに記載する。
問題リストは、患者が抱える問題を箇条書きにしたもので、記載は時系列にとらわれません
時間的な順序よりも、疾患治療における患者の全体像が理解できる目次のような記載となります。

(5)○:初期計画は、問題ごとに記載する。
初期計画は、問題リストに対応して問題ごとにどのような治療・ケア・教育を行うかを記載します。

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