プライバシーが守られて安心!老健・特養などの介護施設に導入されている『ユニットケア』とは?

『ユニットケア』の定義

ユニットケア』とは、自宅に近い環境の介護施設において、他の入居者や介護スタッフと共同生活をしながら、入居者一人ひとりの個性や生活リズムに応じて暮らしていけるようにサポートする介護手法のこと1)です。

ここでいわれる“ユニット(=単位)”とは、生活単位をさします。

従来、ケア提供者側にとっての効率の観点から、集団的・画一的なケアが必要とされてきました。

しかし、集団ケアは利用者個人の価値観や生活リズム、いわばその人らしさが考慮されず、利用者が常に他者の視線にさらされるストレスもあるなど、課題も多くありました。

その課題を背景に、平成13年(2001年)に厚生労働省が特別養護老人ホームにおいて『施設整備の考え方について』を発表し、個室化によるケア=『ユニットケア』の基本方針が打ち出されたのです。

『ユニットケア』の要件と長所

『ユニットケア』の特徴は、利用者個人のプライバシーを守る『個室』(原則8畳(13.2m2)以上)と、他の利用者や介護スタッフと交流するための『居間』(共同生活室)があり、利用者10人前後を1つの『ユニット』として位置づけ、ケアを提供するところにあります2)

厚生省の委託研究を受けた外山氏によれば、ユニットケア導入により、利用者のベッド上の滞在率が67.7%から40.2%へ減少、リビング滞在率が16.7%から42.8%と増加し、行動も睡眠が減って、コミュニケーション量が倍増したとされます。また食事においても胃ろう摂取から経口摂取に変更した例もあり、カロリー摂取量も増加し、ポータブルトイレの利用率も低下したなど、QOL・ADLが改善していることが報告3)されています。

また、『ユニットケア』では、利用者がその人らしい生活を送る個室という『プライベート空間』があればよいという考えではありません。

『ユニットケア』の基本的な考えは、『プライベート空間』とともに、他者と会話や交流できる『セミパブリック空間』や『セミプライベート空間』が提供されることで、利用者の社会性や自発性を育み、自立を支援するというものです。

橘弘志氏によれば、空間は下記のように4つに分類されます4)

プライベート空間:入居者個人の所有物を持ち込み、入居者が管理できる空間
セミプライベート空間:プライベート空間の外にあり、複数の利用者により自発的に利用される空間
セミパブリック空間:施設職員により基本的に集団的かつ規律的行為が行われる空間
パブリック空間:施設職員および内部居住者と外部居住者の双方に開かれた施設内の空間

『ユニットケア』の短所

『ユニットケア』においてケアの質が高い理由は看護師の配置人数が多いだけで、従来型に比べて優位性がなく、むしろケア提供者の負担が大きいだけであるとする報告5)もあります。

地域の特性に応じてユニットケアをうまく取り入れていくことが望まれています。

参考文献
1)日本ユニットケア推進センター:『ユニットケアについて
2)厚生労働省:『施設整備の考え方について』(平成13年)
3)外山 義:『介護保険施設における個室化とユニットケアに関する研究』.医療経済研究,ll,63-88,2002年
4)橘 弘志:『特別養護老人ホーム共用空間におけるセミプライベート・セミパブリック領域の再考 : 個室型特別養護老人ホームの空間構成に関する研究 その4』.日本建築学会計画系論文集,67(557),157-164,2002年
5)高齢者医療介護委員会:『ユニットケアの長所と短所を検証、優位性は認められず』.全日病ニュース,895,2017年6月1日

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