【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問2社会「環境汚染(大気汚染)」

33-002 大気汚染物質とその健康影響の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)光化学オキシダント ―――― 肺がん
(2)二酸化窒素 ―――― 中枢神経障害
(3)微小粒子状物質(PM 2.5) ―――― 気管支喘息
(4)トリクロロエチレン ―――― 糖尿病
(5)ダイオキシン類 ―――― 慢性気管支炎

正解:3

【解説】
1=×:光化学オキシダントが引き起こすのは、目や気道の粘膜症状であるため、誤った選択肢です。

光化学オキシダントは、自動車や工場などから排出された窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)が紫外線を受けて光化学反応を起こすことで生じます。

光化学オキシダントは粘膜を刺激するため、「目がチカチカする」、「のどが痛い」などの症状を起こすほか、頭痛、吐き気などを引き起こします。

なお、肺がんの成因となるのは、微小粒子状物質(PM 2.5)などによる大気汚染や、アスベストなどの化学物質の曝露です。

2=×:二酸化窒素が引き起こすのは、呼吸器症状であるため、誤った選択肢です。

二酸化窒素とは、自動車や工場の排気ガスなど、高温での燃焼により空気中の窒素と酸素が結びついたもので、窒素酸化物(NOx)として、化石燃料の燃焼で発生する硫黄酸化物(SOx)とともに、酸性雨の原因ともなっています。

なお、中枢神経障害を引き起こすのは、金属の洗浄剤などで使われるトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン、ジクロメタンなどです。

3=○:微小粒子状物質(PM 2.5)は、気管支喘息や肺がん、糖尿病を引き起こすため、正しい記述です。

微小粒子状物質(PM 2.5)は、有害物質を含む粒子径が2.5μm以下の微小粒子です。

粒子径が10μm以上程度の物質は鼻の粘膜で体内への侵入が遮られますが、微小粒子状物質(PM 2.5)は粒子径が小さすぎるため体内へ侵入してしまい、肺の内部まで到達して沈着するため、がんなどの有害事象を引き起こす要因となります。

また、微小粒子状物質(PM 2.5)は糖尿病のリスク因子であるとの報告もあります。

4=×:トリクロロエチレンが引き起こすのは、中枢神経障害であるため、誤った選択肢です。

なお、糖尿病を引き起こす大気汚染物質は、微小粒子状物質(PM 2.5)です。

5=×:ダイオキシン類が引き起こすのは、ホルモンのかく乱や発がん、中枢神経障害などのため、誤った選択肢です。

廃棄物を焼却した際に発生するダイオキシンは、成長ホルモンをかく乱したり、催奇形性や発がん性のリスクを高めることから、日本では1990年代後半に社会問題となりました。

なお、慢性気管支炎を引き起こすのは、二酸化窒素や微小粒子状物質(PM 2.5)などです。

同じテーマの問題

【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問2社会「環境汚染」【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問2社会「環境汚染」
解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。

0
error: Content is protected !!