【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問84 応用「日本人の食事摂取基準の指標」

35-084 日本人の食事摂取基準(2020年版)における栄養素の指標に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)RDAは、個人での摂取不足の評価に用いる。
(2)摂取量が AIを下回っていても、当該栄養素が不足しているかを判断できない。
(3)ULには、サプリメント由来の栄養素を含まない。
(4)DGの設定で対象とした生活習慣病に、CKDが含まれる。
(5)DGの算定に、エビデンスレベルが付された。

正解:3

【解説】
(1)○:RDA(推奨量)は、個人での摂取不足の評価に用いる。
RDA(推奨量)とは、ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97~98%)が充足している量のことです。

個人の場合は不足の確率がほとんどなく、集団の場合は不足が生じていると推定される対象者がほとんど存在しない摂取量であることから、この値の付近かそれ以上を摂取していれば不足のリスクはほとんどないとされる摂取量をいいます。

(2)○:摂取量が AI(目安量)を下回っていても、当該栄養素が不足しているかを判断できない。
目安量とは、特定の集団における、ある一定の栄養状態を維持するために十分な量のことです。
十分な科学的根拠が得られず「推定平均必要量」が算定できない場合に算定する値です。

実際には、特定の集団において不足状態を示す者がほとんど観察されない量となりますが、集団を評価する指標なので、個人での栄養不足は判断できません。

(3)×:UL(耐容上限量)には、サプリメント由来の栄養素を含む。
『日本人の食事摂取基準(2020年版)』のp.17には以下の記述があります。

食事として経口摂取される通常の食品に含まれるエネルギーと栄養素を対象とする。耐容上限量については、いわゆる健康食品やサプリメント(以下「通常の食品以外の食品」という。)由来のエネルギーと栄養素も含むものとする。

(4)○:DG(目標量)の設定で対象とした生活習慣病に、CKD が含まれる。
DG(目標量)とは、生活習慣病の発症予防を目的として、特定の集団において、その疾患のリスクや、その代理指標となる生体指標の値が低くなると考えられる栄養状態が達成できる量のことです。
現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量となります。

食事摂取基準における生活習慣病とは、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、CKD(慢性腎臓病)の4つにフレイルを加えた5疾患をいいます。

(5)○:DG(目標量)の算定に、エビデンスレベルが付された。
日本人の食事摂取基準(2020 年版)の改訂の特徴の一つに、エビデンスレベルがあります。

医療分野では、ある行為がある結果をもたらす確からしさについて、さまざまな研究結果をエビデンスとし、そのエビデンスの確からしさについてレベルをつけて評価しています。

栄養学分野でもこのエビデンスレベルの考えを取り入れたのが、今回の2020年版の改訂の大きな特徴の1つです。

しかし、エビデンスレベルを示すには十分な研究が足りないため、生活習慣病の発症予防効果がどれくらいあるかという目標量に限って策定されています。


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