【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問25人体「個体の恒常性(ホメオスタシス)」

33-025 個体の恒常性に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)過呼吸では、呼吸性アシドーシスがみられる。
(2)アルドステロンの過剰分泌により、代謝性アルカローシスが起きる。
(3)メラトニンは、夜間に分泌が減少する。
(4)不感蒸泄では、電解質の喪失がみられる。
(5)食物摂取後は、生体における熱産生が抑制される。

正解:2

【解説】
1=×:過呼吸でみられるのは、呼吸性アルカローシスであるため、誤った選択肢です。

過呼吸とは、酸性ガスである二酸化炭素を過剰に吐き出すことです。

つまり、体内では酸性の比率が低下して、相対的にアルカリ性の比率が高まります。

したがって、過呼吸では酸性ガスが過剰に排出されて体内がアルカリ性に傾くので、呼吸性アルカローシスがみられます。

逆に、呼吸性アシドーシスが起こるのは、酸性ガスが蓄積してしまう場合です。
つまり、二酸化炭素が適切に吐き出せていない場合であり、呼吸機能が低下している状態です。

具体的には、気管支喘息や肺気腫などの閉塞性肺障害、神経疾患による呼吸筋障害、脳疾患による呼吸中枢の抑制などです。

アシドーシス・アルカローシスは国試頻出です。ホメオスタシスでも問われますし、糖尿病性アシドーシスでも出題されます。代謝性のアシドーシス・アルカローシスと4つセットで違いをしっかり理解しておきましょう。

2=○:アルドステロンの過剰分泌により、代謝性アルカローシスが起きる。
副腎皮質から分泌されるアルドステロンは、昇圧作用をもつホルモンです。

アルドステロンは、腎臓の集合管に作用して、集合管を通する水分(原尿)からナトリウムを再吸収するとともに、カリウムを体外に出そうとします。カリウムが尿として排出された結果、低カリウム血症を引き起こします。

低カリウム血症が起きると、血液中のカリウム濃度低下を補おうと細胞内のカリウムイオンが血液へと移動します。カリウムイオンが血液に移動する際に、細胞内から失われたイオンを補おうと、血液中から酸性である水素イオンが細胞内に取り込まれます

したがって、血中のカリウム濃度が低下すると酸性である水素イオンも血液から失われるため、血液がアルカリ性に傾く=アルカローシスとなります。

アルドステロンは、血圧を高めつつ、低カリウム血症とアルカローシスを引き起こすという訳です。

3=×:メラトニンは、夜間に分泌が増加するため、誤った選択肢です。

メラトニンは、脳の松果体という部位から夜間に分泌されるホルモンで、体温を下げたり体内時計を調整させることなどにより、脳とからだを睡眠へ誘導する作用をもつ睡眠ホルモンです。

1日の覚醒・就寝などの活動リズムを概日リズム(サーカディアンリズム)といい、メラトニンはこの概日リズムの調整に大きくかかわります

4=×:不感蒸泄(ふかんじょうせつ)とは、汗以外で失われる水分です。
具体的に言えば、呼吸中に含まれる水分や、皮膚から蒸発していく水分などです。

一般的に不感蒸泄では電解質の喪失はごく微量であり、ほぼないものとみなすため、誤った選択肢です。

ちょっと微妙な問題ですね。

5=×:食物摂取後は生体における熱産生が促進されるため、誤った選択肢です。
食事した後に体が寒くなることは、アイスを食べた時以外は経験がないかと思います。


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