35-072 血糖の調節に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)食後には、グルカゴンは、筋肉へのグルコースの取り込みを促進する。
(2)食後には、インスリンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
(3)食後には、単位重量当たりのグリコーゲン貯蔵量は、肝臓よりも筋肉で多い。
(4)空腹時には、トリグリセリドの分解で生じたグリセロールは、糖新生に利用される。
(5)急激な無酸素運動時のグルコース生成は、主にグルコース・アラニン回路による。
正解:4
【解説】
(1)×:食後には、インスリンは、筋肉へのグルコースの取り込みを促進する。
グルカゴンは血糖を上昇させるホルモンです。
筋肉にはグルカゴン受容体がないため、筋肉へのグルコースの取り込みを促進しません。
(2)×:食後には、インスリンは、肝臓のグリコーゲン合成を促進する。
インスリンは、血糖を肝臓や筋肉への取り込みを促進したり、肝臓・筋肉でのグリコーゲンの合成を促進します。
(3)×:食後には、単位重量当たりのグリコーゲン貯蔵量は、筋肉よりも肝臓で多い。
血糖(グルコース)は、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵されます。
筋肉でのグリコーゲンは、筋肉でのエネルギー源として利用されますが、肝臓でのグリコーゲンは全身でのエネルギー源として利用されるため、グリコーゲンの重量当たりの貯蔵量は筋肉よりも肝臓の方が多いです。
(4)○:空腹時には、トリグリセリドの分解で生じたグリセロールは、糖新生に利用される。
空腹時は血糖が低下しますので、糖新生が働きます。
糖質(グルコース)が体外から摂取できない場合、グルコース以外のものからグルコースを合成する必要があります。これが糖新生です。
糖新生の材料となるグルコース以外の物質は、尿酸やグリセロール、糖原性アミノ酸などがあります。
(5)×:急激な無酸素運動時のグルコース生成は、主にコリ回路による。
筋肉トレーニングなどの無酸素運動を急激に行うと、乳酸が産生されます。
この乳酸は血液で運ばれて肝臓へ移動し、エネルギー源となるグルコース合成の材料となります。
つまり、コリ回路は、乳酸をグルコースに変換する回路です。
一方、グルコース・アラニン回路とは、エネルギー不足により筋肉の筋たんぱく質が分解されることで生じるアラニンを血液で運ばれて肝臓に移動し、エネルギー源となるグルコース合成の材料となります。
つまり、グルコース・アラニン回路は、アラニンをグルコースに変換する回路です。
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