【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問117 臨床「特別治療食(てんかん食)」

35-117 てんかん食とその摂取により生じる代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)高炭水化物・低たんぱく質食である。
(2)摂取により、血中3-ヒドロキシ酪酸値が低下する。
(3)摂取により、血液pHが上昇する。
(4)ケトン体は、筋肉で合成される。
(5)ケトン体は、脳で利用される。

正解:5

【解説】
(1)×:てんかん食とは、高脂質・低炭水化物・低たんぱく質食である。
てんかんでは、脳でのエネルギー源として、糖質・炭水化物ではなく、脂質の代謝物であるケトン体を用いた場合、てんかん発作が減少することが知られています。

そのため、てんかん食では、エネルギー源として、脂質が優先的に利用されるように、炭水化物やたんぱく質は制限されています。

(2)×:てんかん食摂取により、血中3-ヒドロキシ酪酸値が上昇する。
アセトン、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸をケトン体といいます。
したがって、ケトン体の利用を目的としたてんかん食では、3-ヒドロキシ酪酸を生じるため、血中3-ヒドロキシ酪酸値は上昇します。

(3)×:てんかん食摂取により、血液pHが低下する。
ケトン体は酸性ですので、血液のpHは低下します。
なお、ケトン体が蓄積するとケトアシドーシスを生じます。

(4)×:ケトン体は、肝臓で合成される。
ケトン体は、TCA回路や呼吸鎖の処理が追いつかないときに脂肪の分解により肝臓で合成され、他の臓器にエネルギー源として送られます

(5)○:ケトン体は、脳で利用される。
ケトン体を脳のエネルギー源として利用することが、てんかん食の目的です。


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