【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問141臨床「メープルシロップ尿症の栄養管理」

33-141 メープルシロップ尿症の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)エネルギーの摂取量を制限する。
(2)分枝アミノ酸の摂取量を制限する。
(3)シスチンの補充を行う。
(4)食事療法の評価は、血中チロシン値を用いる。
(5)食事療法は、成人期には不要となる。

正解:2

【解説】
メープルシロップ尿症は分枝アミノ酸(BCAA)の代謝障害です。

“メープルシロップ”は病態・機序にはそんなに関係がないです。

メープルシロップ尿症とは、分枝アミノ酸であるバリン・ロイシン・イソロイシンを代謝する酵素が先天的に欠損しているために、分枝アミノ酸が蓄積してしまう疾患です。

分枝アミノ酸の代謝産物であるα-ケト酸が体内に蓄積して尿に排泄されると、尿ではα-ケト酸に由来するメープルシロップのような匂いがするということから名づけられています。

なにかと万能感のある分枝アミノ酸(BCAA)ですが、メープルシロップ尿症においては分枝アミノ酸はNGなことをイメージしておきましょう。

また、社会・環境と健康領域では、新生児マススクリーニングについて出題されますが、メープルシロップ尿症も新生児マススクリーニングの対象疾患です。

1=×:メープルシロップ尿症ではエネルギー摂取量の制限は行わないため、誤った選択肢です。

難病センターによれば、メープルシロップ尿症の乳幼児期は適切なカロリー(80kcal/kg以上)と電解質輸液、ビタミン投与(B1反応型もある)、たんぱく質の制限を行うとされています。

2=○

3=×:メープルシロップ尿症に対してシスチン補充は推奨されていないため、誤った選択肢です。

シスチンはアミノ酸の1つです。

4=×:メープルシロップ尿症に対する食事療法は血中ロイシン値で評価するため、誤った選択肢です。

メープルシロップ尿症は分枝アミノ酸が代謝できないわけですから、バリン・ロイシン・イソロイシンが血中に増加します。
そのなかでも血中ロイシン値は臨床症状とほぼ一致するとされています。

国立成育医療センターによれば、血中ロイシン値が10~20mg/dLでは哺乳力が低下し嘔吐が出現し、20mg/dL以上では意識障害、筋緊張低下、痙攣、呼吸困難などが出現するそうです。

チロシンもアミノ酸の1つですが、分枝アミノ酸ではなく、芳香族アミノ酸です。

5=×:メープルシロップ尿症に対する食事療法は生涯にわたり必要なため、誤った選択肢です。

代謝酵素が先天的に欠損しているため、成人以降でも分枝アミノ酸除去食などの食事療法が必要とされます。


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