【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問126臨床「脂質異常症患者の栄養管理」

33-126 脂質異常症の栄養管理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)高カイロミクロン血症では、脂質のエネルギー比率を20~30%Eとする。
(2)高LDL-コレステロール血症では、飽和脂肪酸の摂取を控える。
(3)低HDL-コレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を控える。
(4)高トリグリセリド血症では、アルコール摂取量を25g/日以下とする。
(5)高トリグリセリド血症では、果糖を含む加工食品の摂取を減らす。

正解:1

【解説】
1=×:高カイロミクロン血症では、脂質の摂取エネルギー比率を15%E以下とするため、誤った選択肢です。

カイロミクロンの約90%は中性脂肪(トリグリセリド)です。
したがって、高カイロミクロン血症では厳密な脂質制限が必要となります。
また、脂質も中鎖脂肪酸を積極的に使います。

2=○:高LDL-コレステロール血症を含む脂質異常症では、飽和脂肪酸の摂取エネルギー比率を7%E未満とするため、正しい記述です。

飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを高めるため、高LDL-コレステロール血症を含む脂質異常症では摂取量を制限します。

3=○:低HDL-コレステロール血症を含む脂質異常症では、トランス脂肪酸の摂取を控えるため、正しい記述です。

トランス脂肪酸は、飽和脂肪酸と同様にLDLコレステロールを高めるはたらきがあります。また、HDLコレステロールを低下させるはたらきもあるため、脂質異常症を悪化させます。

4=○:高トリグリセリド血症を含む脂質異常症では、アルコールの摂取量を25 g/日以下とするため、正しい記述です。

健康日本21(第二次)では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、純アルコール換算で男性40 g/日以上、女性20 g/日以上としています。

また、日本動脈硬化学会では、脂質異常症におけるアルコール量を25 g/日以下としています。

5=○:高トリグリセリド血症では果糖を多く含む加工食品の摂取を控えるため、正しい記述です。

果糖(フルクトース)はブドウ糖(グルコース)と同じように単糖類であり、吸収されやすくトリグリセリドに変換されやすいためです。

参考文献
1)日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症ガイド2018年版』

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